烏龍茶はたくさん種類がある?歴史や効能・製造工程まで徹底深堀!

烏龍茶は中国全土に広まったのち各地で独自の茶葉の種類が発達し、香りや味が異なります。

種類はなんと800種類以上あるとされていて、数多くの種類が出回っています。

ここでは各地域中で代表的な烏龍茶の種類を紹介します。

目次

中国国内で発達した烏龍茶

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中国国内で発展した主に4つの烏龍茶が日本では親しまれている種類で知名度もあり人気です。

花のような香りと芳醇で甘い!鉄観音

鉄観音茶は福建省南部にある安渓県付近が産地で、現在では広東省や台湾でも製造されている人気の種類です。烏龍茶の生産量の約5%を占めています。

見た目や触り心地は、強い揉捻で鉄のように硬く油のような光沢があるのが特徴です。

味は芳醇で濃く後味は甘い味わいで、香りは甘くキンモクセイやランのような花の香り、色は黄金色のように明るいです。

鉄観音には安渓鉄観音・木柵鉄観音・西岩鉄観音という3種類あり、味や香りは少し異なるため、お好みの香りや味を探してみてはいかがでしょうか。

香木のような香りと甘味!武夷岩茶

武夷岩茶は福建省北部にある武夷岩市付近で多く生産されています。

武夷岩茶は青茶で最も貴重なお茶として、まるで香木のような芳醇な香りと渋みや甘い香りを味わえるお茶です。

武夷岩茶は、中国国内を中心に高級なお茶として扱われていて、周りの省でも武夷岩茶という名で売られているため品質保全マークとなる原産地マークが約100社に許可されています。

武夷岩茶には、大紅袍、小紅袍、白鶏冠、半天腰などの種類があり人気です。

芳醇でまろやか!水仙

水仙は中国福建省に流れている閩江川を境に南部で採られる茶葉のことを閩南水仙といい、北部で採られる茶葉のことを閩北水仙が原産です。

色が緑褐色、香りはランのような花の香りがし、芳醇でまろやか、後味に甘み残る味わいです。また2種類以外にも広東水仙と台湾水仙があり人気です。

芳醇で甘い香りと果物のような甘味!鳳凰單欉

鳳凰單欉は広東省潮州市潮安区の鳳凰山にあります。

広東省の鳳凰単欉には、型夜来香型・肉桂香型・杏仁香型・蜜蘭香型・玉蘭香型・黄梔香型・姜花香型・桂花香型・芝蘭香型・茉莉香型という大きく分けて10種類の茶葉があり、この10種類から作られています。

香りはワインや草花、果物のような芳醇で甘い香りと少し渋みを感じますが果物のような甘味を味わうことができます。

台湾で発展した人気の烏龍茶2選!

台湾で発展した2種類の烏龍茶を紹介していきます。

芳醇な香りやバニラのような香り!種類が多い凍頂烏龍茶

凍頂烏龍茶は台湾の烏龍茶として日本でも定着したブランドです。

凍頂烏龍茶は薄い黄金色をしていて、まろやかな甘味と華やかな香りを楽しむことができます。

発酵どの高い凍頂烏龍茶では芳醇な香りを楽しむことができます。

また凍頂烏龍茶に分類される種類の烏龍茶では、金萓種はバニラのような香りがする烏龍茶や四季春種は青々しい香りがするなど様々な香りを楽しむことができます。

フルーツのような香りと甘く爽やかな味!イギリスでも大人気な東方美人茶

東方美人茶は19世紀にかけてイギリスに輸入されイギリス国内でも人気の烏龍茶となりました。

東方美人茶が誕生したのは偶然できあがりました。19世紀ある夏頃、茶畑にウンカという昆虫の大群が押し寄せて大損害を受けてしまいました。

被害を受けた茶畑は商品にならないため、捨てるのがもったいないと思った農家の人たちが飲んだところとても美味しく商品化したのが始まりです。

甘く爽やかな味わいとフルーツのような香りを楽しむことができるお茶です。

烏龍茶の歴史

烏龍茶の歴史は意外なことにそれほど深くなく中国の王朝である明国で中期といわれる1400年代中旬から1500年代上旬前後に福建省の武夷地区から誕生したお茶です。

同時代には武夷地区付近で紅茶ができたともいわれており、今でも親しまれているお茶が誕生した時代でもあります。

烏龍茶がどのようにできたかという説によると、茶葉を運ぶために竹カゴいっぱいに詰めて背負い運んでいたところ、竹カゴの中で太陽にさらされて竹カゴの中で葉っぱ同士が擦れることにより酸化が起こり、着いた頃に偶然美味しいお茶となっていました。

このようにして偶然にも発見された製法を元にした作られる方法のことを青茶の製法と呼ばれています。

この製法が茶農の間で徐々に開発されたのではないかというのが最も有力な説と考えられています。

清の時代に入ると青茶の製法が確立されて徐々に烏龍茶の製法が福建省南部にある安渓や広東省潮州、さらには海を越えた台湾まで製法が伝わり親しまれる飲み物になりました。

各地に広まった製法は、各地に合った製法や独自に発展していき多くの種類の烏龍茶が生まれました。

各地に独自で根付いたお茶の製法はやがて各地の名産として重要な産業に発展していき、アヘン戦争勃発までは中国大陸からヨーロッパへ輸出され、その後台湾から輸出されるようになりヨーロッパの貴族や商人といった金持ちの人々にも親しまれるようになりました。

ヨーロッパで最も有名となった茶葉の種類が東方美人茶で、多くの人が今でも飲まれています。

烏龍茶の効能・成分 

烏龍茶に含まれる成分が体に作用し3つの効能があり、病気や生活習慣病を抑えることができます。

ポリフェノールが脂肪の吸収と制御し、体重を減らす効果がある

烏龍茶に含まれるポリフェノールが脂肪の吸収に作用する酵素の動きを抑制する効果があります。

実験で水を与えたラットと烏龍茶を与えたラットの脂肪排出量を比較した際、水のラットと比べ30%脂肪の輩出が多いという結果が出ました。

また6週間烏龍茶を飲んだ実験では体重、体脂肪、血中中性脂肪値を減らすことができウエストサイズが変化したと報告されています。

カフェインが歯周病などの歯の病気を予防する

健常者9人に対して、烏龍茶内に含まれるカフェインが歯周病の病原体の発育を減少することができるとの実験データが出ました。水と烏龍茶で比較した場合も烏龍茶の方が歯の病気を予防する効果があります。

アトピーといった性皮膚炎を抑えることができる

アトピー患者121人に対して2.5倍濃縮した烏龍茶を1日400ml4週間に亘り飲んだ結果、64%の方はアトピー性皮膚炎症状が改善したというデータがあります。

これは抗アレルギー剤と同様の効果があると結論が出ている試験結果もあります。

カテキンは脂質異常症や動脈硬化を抑えることができる

烏龍茶に含まれるカテキンは、胆汁酸の排出を促進することで血中コレステロールを上がることを抑える効果があります。コレステロールの増加は、動脈硬化や脂質異常症の原因となることが多く、抑えることで予防することができます。

烏龍茶には他にも香気成分・クロロフィル・ビタミン・アミノ酸・サポニンなど様々な成分が含まれています。

烏龍茶の製造工程

烏龍茶は半発酵させて出荷するまでに10個の工程を重ねて仕上げていきます。

美味しい烏龍茶が出来上がるまでの製造工程を詳しく解説していきます。

STEP①若い芽は苦くなる?生葉摘採の過程とは

茶葉の芽は早く取ってしまうと苦く仕上がってしまうため、若い芽が入っていると仕上がった際に苦い味が出て烏龍茶の味を下げてしまいます。

日本のお茶で使用する葉っぱの大きさよりも大きな葉っぱを産地では手摘みでおこなわれます。

手摘みにすることで葉っぱを傷つけることなく適度な大きさの摘むことができます。

STEP②日干しで乾燥させる!

天気が晴れている際は、天日干しにして葉っぱを乾燥させ、雨天や曇りの際は室内に移送し熱風乾燥をおこないます。

天日干しは室内乾燥と比較して品質がよくなるため、高値で取引されることが多く仕上がりがよくなります。

早期摘採の生葉には朝露がついているため、一旦葉っぱについている朝露を落とすため室内に広げ朝露を取ってから天日干しをおこないます。

STEP③室内で天日干しした温度を下げる!

天日干しをおこなうと葉っぱの温度が上がるため、室内の棚に移し静置しておき、自然と葉っぱの温度が下がるのを待ちます。

STEP④筒を回転させて葉を傷つかせて発酵させる!

葉っぱを発酵させるためには葉っぱを擦り合わせて傷をつけて発酵の促進をさせます。

昔は竹カゴに葉っぱを入れてカゴを揺らし製造していましたが、現在ではドラム型の竹カゴ製の筒の中に葉っぱを入れて、ドラムを回転させることにより葉っぱを傷つけて擦り合わせます。

ドラムの回転は1秒間に1回回転前後に設定し回転させることにより、葉っぱの周りは赤褐になりますが、葉っぱの中央付近は緑のままため半発酵程度に仕上げます。

STEP⑤釜で炒り水分を飛ばす!

半発酵の葉っぱを釜などで炒り、酸化酵素の活性を止める作業をします。

大規模な工場の場合、コンクリートミキサー状の専用炒葉機といった機械を使用します。

小規模な工場の場合、日本の嬉野茶で使用するような斜め釜を使用し手作業で炒ります。

STEP⑥揉捻機で圧力をかけて水分量を均一にする!

揉捻機という圧力をかける機械を使用し、葉っぱに対して均等に圧力をかけていきます。

圧力をかけることにより、葉っぱの中に含まれている水分量を均一にすることと茶っぱをお湯に出す際に成分を出しやすくするためにおこないます。

STEP⑦締め揉みする

風呂敷のような布地の中に葉っぱを包み込んで、風呂敷を転がすようにしながら葉っぱを絞ります。

絞ることで形を整え、乾燥と葉っぱを絞ることを15回から20回ほど繰り返して締め上げていきます。

この絞ることと葉っぱを乾燥させる後半の作業のことを団揉とも呼びます。

STEP⑧絞り上げて葉塊を解く!玉解き

絞りあげられた葉塊をきれいにほぐしていきます。

STEP⑨ゆっくり乾燥させて仕上げる

解いた葉っぱの水分を少なくすることや形が元に戻らないようにゆっくりと乾燥させていきます。この際、多少の火香をおこなうことが多いです。

STEP⑩荒茶が完成!仕上げ工場に輸送し製品にする

上記9工程でできたものを荒茶と呼びます。

荒茶が麻袋に入れられて、仕上げ工場に移送されます。

仕上げ工場では葉っぱに水分が含まないように風通しがいい場所に安置され、消費者に届くまでの袋詰めなどの仕上げ加工をおこないます。